Try T.M Engineer Blog

多摩市で生息するエンジニアが「アウトプットする事は大事だ」と思って始めたブログ

書籍「管理ゼロで成果はあがる「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう」を読んで、これはプログラマの方にもオススメの本だと確信した話

前回のブログに引き続いて、「何か図書館に置きたい本ない?」と会社からアンケートが回ってきた時に、もう1冊読みたいと思って希望していた本がありました。
それがこれです。

攻めたタイトルの本だったので、てっきり希望は却下されるだろうと思っていたのですが、すんなり図書館に置いてもらえたので、さっそく手にとって読んでみました。

かんたんに書籍のご紹介

この本を書かれた倉貫義人さん(以降、倉貫さん)は、株式会社ソニックガーデンというIT系の受託開発を行っている会社のCEOです。 株式会社ソニックガーデンといえば「納品のない受託開発」や社員全員がリモート開発をされており、物理的なオフィスがない事で有名ですね。
また、「プログラマを一生の仕事にする」ことを会社のビジョンとして掲げており、CEO含めて全員がプログラマの会社です。
普通の会社には当たり前に存在する営業や人事をする人がいない中で、どのようにして会社経営をされているのか、そんな会社経営にした理由や考え方を纏めている本です。

この本を読みたいと思ったきっかけ

元々、ソニックガーデンさんの存在は知っており、CEOの倉貫さんのブログやインタビュー記事は、ちょくちょく拝見しておりました。 その内容がとても面白かったこと、そして何より記事がプログラマ目線で書かれていたので、本書が出版された時は絶対におもしろいだろうと思っていました。

実際に本書が出版された時は、個人的に購入しようと思っていたのですが、社内の図書館に置いてもらえるなら社内で共有できるので、そちらの方が良いという結論に至りました。(正直、図書館に置くのは却下されると思っていたので、置いてもらえた時は驚きました)

経営者・管理職をやられている方だけでなくプログラマにもオススメ

本のタイトルから経営者・管理職をされている方向けの内容と思ってしまいますが、実はプログラマ向けに書かれている内容も多々ありました。
この本は以下3段階に分けて書かれているのですが、どれも主語を絞っていないんですよね。

 ・第一部 生産的に働く
 ・第二部 自律的に働く
 ・第三部 独創的に働く

なので、プログラマとして生産的、自律的、独創的な働き方についても書かれおり、(転職前は)管理職、(転職後は)プログラマの両方を経験している身としてはとても勉強になりました。

第一部 生産的に働く

第一部は、生産的に働くために仕事のやり方を見直しましょう!という事が書かれていた。
どちらかというと現職のプログラマに向けたメッセージが多い印象を受けた。

-「ふりかえり」

いきなり仕事を始めるのではなく、まずは考えること。目的(ゴール)を明確にして「タスク」に落とし込んでから仕事をしましょう。
これ自体は(マネジメントの研修等でも)よく耳にする言葉です。
しかし、倉貫さんはこれに加えて「ふりかえり」をやりましょう!と伝えている。

この「ふりかえり」は、個人で実践されている人はいても、チームで実践されている人は少ないと思う・・・・
(私は個人でも、チームでも実践できていませんが・・・orz)

「ふりかえり」は「KPT」と呼ばれる方法を使い、Keep(よかったこと)、Problem(悪かったこと)を洗い出して、次に繋げるTry(次に試すこと)を決める。
これを週1で継続することで「自分たちがチームを変えていく!成長させていく!」という意識が根付くとのこと。

これは個人でも、チームでも実践すると「効果が期待できそう」だと感じた。

- 報連相ではなく、雑相!

会社に入って間もないころは、よく「報連相」を耳にしたが、倉貫さんは「雑相」も大事だと伝えている。
「雑相」つまり、雑談と相談のこと。

これは、なんとなくわかる気がする。私も上司と雑談をしていると、自然と相談になっていたりする事が稀にあったりする。

ここでは、雑談が大事であるということ。人から雑談してもらえる雰囲気を作ることが大事だという事を学んだ。その雑談が気軽にできるようにしていくには、Slack等のツールを導入するのが良いとも書かれていた。

第二部 自律的に働く

第二部は、自律的に働くために、(人を縛る)変なルールや決まりをなくしていこう!という事が書かれていた。
こちらは経営者・管理職に向けたメッセージが多い印象を受けた。

- 読んでて「あるある!」

個人的にツボだったのは「評価をなくす」の部分、「あるある!」を感じた。
(前職では)この本で問題視されている「評価」の方法とまったく同じ事をしていたので、すごく共感できた。

いわゆる、年初・半期初に目標を立てて、年末・半期末に「評価」する方法のこと。
本書でも問題視しているが、この方法だと、個人が目標を低すぎず高すぎずの変な按配で意識的に目標を立ててしまったり、評価期間が長くてそもそも目標が変わってしまったり・・・という問題がおきてしまう。

(前職では)まさにこの問題がおきていて、多くの人が、年末・半期末に目標と評価を一度に書くという、意味不明なことをしていた。

ソニックガーデンさんは、この対応として「評価」をなくして「給料はほぼ一律」、「すりあわせ」を取り入れるといった方法を行っている。

- セルフマネジメントできるエンジニアになろう

倉貫さんは「成果をあげるために自分で考え、自分が責任をとれる範囲で、自分で決める」これがセルフマネジメントだと伝えている。
これがすごく心に響いた。

とくに「自分で決める」という部分!
「お客さんの言われた通りに・・・」「お客さんの許可・確認をして・・・」とやたら言う上司がいたのを思い出しました。こんな言われたままやるだけでは、良いチーム・プログラマになれない。と私も思う。

受託脳ではなく、提案脳になろうとも書かれており、プロ意識を持とうというメッセージが凄く伝わった。

第三部 独創的に働く

第三部は、独創的に働くために常識や習慣に従うことをやめよう!という事が書かれていた。
こちらも経営者・管理職に向けたメッセージが多い印象を受けた。

ここでは、ソニックガーデンさん自身が常識や習慣に従うことを止めた理由、止めた結果が書かれている。
この内容は是非、本書を手にとって読んで欲しい!!

最後に・・・

ソニックガーデンさんの会社の運営方法は、とても先進的です。
でもそれは、会社(倉貫さん)が人との繋がりを大切にして、個人の考えを尊重している結果なのだと感じました。

多くの会社が、会社を大きくしたい。事業を成功させたい。だから良い人を集めよう。という「会社・事業第一」の考えだけど、ソニックガーデンさんはそうではなく、個人で本を出したいなら応援しよう、海外に住みながら働きたいなら会社での働き方を変えよう。という「個人の尊重を第一」の考えなのだと、その結果なのだと感じました。

また、私は将来「強いエンジニアになりたい」という、定義がしっかりと定まっていないざっくりした目標を持っていました。本書を読んで、私のイメージする「強いエンジニア像」の定義みたいなものが、なんとなく見えてきた気がします。

具体的には「技術だけを追い求めるエンジニアではなく、当事者意識をもって自分で考えて行動・意思決定できるエンジニア」かなと。

その目標に向かって、まずは「考えること」「目標設定してタスクばらしをすること」から始めていきたいと思います。